2021/08/19

第一回 Tokyo Crazy Kawaii Paris

 ■第一回 Tokyo Crazy Kawaii Paris

ーYahoo!個人「今日はこのへんにしといたる」2014/2/8(土) 8:30ー


 Tokyo Crazy Kawaii Paris。マンガ、アニメ、ゲーム、音楽、そしてファッション、食、雑貨。これら日本のポップカルチャーを持ち込み、ビジネスのプラットフォームを作るイベントです。2013年9月20~22日の3日間、パリ・ヴァンセンヌの森にて開催しました。ぼくは実行委員長を務めました。

 日本ポップカルチャーはクールという評判・評価を海外から得てはいるものの、それをいかにビジネスにしていくのか、が十年来の課題でした。コンテンツ産業の収入に占める輸出割合は5%で、アメリカの17%には遠く及びません。国際競争力の発揮が求められてきました。国内市場で食うことに慣れ、内向き志向だった業界に外を向いてもらう。その試みです。

 ポイントは2つありました。「総合力」と「参加型」です。

 まず、総合力。マンガ・アニメ・ゲームというバーチャル系のコンテンツに加え、ファッションや食、雑貨というリアルなビジネスも一体となって提供し、日本の総合力を見ようというもの。毎年7月にパリ郊外で開催される「ジャパンエキスポ」はマンガ・アニメ・ゲームが中心で、フランス人が運営しています。出展する日本企業はそこに乗っかっていた形です。これに対しTokyo Crazy Kawaii Parisは、バーチャルとリアルの総合面について日本が企画・運営を全て担い、プラットフォーム含め自ら外に出かけていくものです。

 もう一つは、参加型であること。70社に及ぶさまざまなジャンルの企業、少年ナイフなどのアーティストに加え、日本ファンのみなさんに参加いただく。それも、ジャパンエキスポに多く集まるようなオタク層よりも、ロリータファッションに身を包むハイセンスなティーンズや、一般の親子連れなど、普通の消費者のかたがたが一つの場を作ってく

れました。

 ぼくが座長を務めた政府ポップカルチャー分科会の提案では、ポップカルチャーの海外展開を進めるため、「みんなで・つながって・そだてる」を柱にを据えました。ユーザ参加型で、総合力を活かすという趣旨です。まさにそれを実行しようとしたのです。

 会場では、ロリータ、タコ焼き、プリクラが目に止まりました。

 ロリータファッション率の高さが尋常ではありません。コスプレよりロリータでした。もともと欧州のファッションですよね。でも日本が本場なのです。日本のティーンズたちがアレンジし、発展させ、新しい文化を作り上げた。それが逆流しているのです。

 でもそれは、マンガやアニメやゲームと同じ。これらコンテンツも、元来の表現法や技術は西洋からもたらされました。それを日本が豊かな土壌の中で発展させ、多様化させて、海外に展開したもの。ポップ・ファッションも日本が増殖炉になったということでしょう。

 ラーメン、とんかつ、すし、うどん、そば。それを上回るタコ焼きの行列です。すし、天ぷら人気は知られていますが、タコ焼きもイケますか。だとすれば、まだまだ日本に閉じているもので、発掘できるジャンルがあるんじゃないでしょうか。どうです、全国で地元グルメの発掘に力を入れているみなさん。

 プリクラにも長蛇の列。初音ミクの姿も多数。これらは日本ポップカルチャーの典型です。そう、文化力と技術力の合体。ペアのデコ写真を作るというコンテンツの企画と、それを実現する高度なテクノロジー。カワイイアニメキャラと、そこに命を吹き込むボーカロイド技術。どちらも、表現と技術との総合力を一つにしたものが、こうした参加型の場でもてはやされているわけです。

 さて、ひとまず第一回は成功。毎年やっていきたいと思います事情が許せば。もちろんパリだけでなく。アジア、アメリカ、南米など、攻めて行ければと。


2021/08/17

IT、利用政策への転換を

 ■IT、利用政策への転換を

ーYahoo!個人「今日はこのへんにしといたる」2013/11/23(土) 10:21ー


 世界経済フォーラム(WEF)によれば、消費者洗練度(新たな商品開発のニーズ等を引き出し得るユーザーの能力)で日本は1位。これが日本の強みです。シスコの調べによれば、日本のモバイルユーザが発信する1人当たり情報量は世界平均の5倍でダントツ世界一。若い世代を中心に、情報を生産し、発信する国なのです。日本は、ユーザのリテラシーに着目して政策を考えるべきです。

 課題は3つあります。1) ITの公共利用が低いこと、2) 企業経営の認識が低いこと、3) 社会の認識も高くないこと。

  IT利用に関し、シンガポールと日本とを比較すると、電子商取引や交通・物流の分野ではひけを取らないものの、教育、行政サービス、企業経営の分野では大きな差がみられます。昨年度の情報通信白書でも、公的機関とのネットやり取りの点で日本は調査18か国中最下位でした。

 しかも、マッキンゼーによれば、この10年間に蓄積された情報量は、日本は北米の1/9に過ぎません。一人当たりの発信量が多くても、社会として貯めていない。だからビッグデータも活かせない。若いユーザは進んでいるのに、社会全体の認識に問題がある、ということです。

  政策の切り替えが必要です。これまでは提供政策が中心でした。ぼくが役所に入った30年前は、通信自由化まっただ中、ニューメディアブームでした。毎日、通信業に関するニュースが紙面を飾っていました。以来、IT政策は通信ネットワーク整備、地デジ整備、競争環境整備が中心課題でした。そして、それはほぼ達成されました。

 このところ新聞を読んでも、そういうニュースは目立ちません。ある一週間のIT関連の記事を取り出してみると、教育情報化、コンテンツ転送の著作権問題、ネット選挙、医薬品ネット販売、ネット通販、といったネタばかり。

 ITの提供問題ではなく、すべてITの利用問題です。いかに「整備」するかから、「使える」ようにするか。重点はこちらにシフトしました。役所や病院や学校で新しいメディアが使えるようにする。全ての子どもがデジタル環境で学べるようにする。ネットやケータイで安心して商品やサービスを買えるようにする。つまり、提供政策から利用政策への転換。

 それは、IT「を」どうするか、ではなく、IT「で」社会や経済をどうするか、の視座。産業政策でみれば、IT産業85兆円をどうするか、よりも、それを使って、GDP 470兆円をどう拡大するか、という問題となります。

 これに対し安倍政権は、世界最高水準のIT「利活用」社会を旗印に、規制・制度改革、オープンデータ、人材育成・教育:1人1台の情報端末配備、といった政策を掲げるようになりました。

 ぼくが担当している内閣官房・知財本部の政策メニューも、1) クラウドサービスなど新産業形成に向けた制度整備、2) ビッグデータビジネスの振興、3) 文化資産のアーカイブ化、4) 教育情報化の推進、という具合に、ネットを利用した知財戦略が中心となっています。全体の方向は合っています。

 問題は、それらはまだ実現していないということです。政策は実行されて初めて政策になるのであって、発動されなければアイディアにすぎません。ぼくが携わるデジタル教科書もオープンデータもまだまだ道半ば。

  利用政策で言えば、ネット選挙の拡充、医療情報化、炎上問題への対応、ソーシャルゲームの健全化・・・ メニューはいくらでもあります。いま一度、IT政策のプライオリティーを上げること、特にIT利用政策の重要性を認識することが大事です。


機械との競争、19の提言 

 ■機械との競争、19の提言 

ーYahoo!個人「今日はこのへんにしといたる」2013/10/12(土) 8:24ー


 エリック・ブリニョルフソン、アンドリュー・マカフィー「機械との競争」の続編です。ぼくが本書に刺激を受けたのは、「教育」に関する分析と、「提言」の2点。まず、本書はアメリカの教育が停滞していることを批判します。情報化が進んでいない、指導法は何世紀も変わっていない、という指摘です。MITメディアラボのシーモア・パパート一派が唱え続けていることですね。

 そこで本書も教育情報化を説くのですが、意を強くしたのは、美術、音楽など「ソフトスキル」をつける重要性を語っていることです。MITメディアラボから転じたジョン前田が、「イノベーション力を高めるにはSTEAM=科学、技術、工学、Art、数学が重要」としてArt教育をプッシュしていることに言及しています。まさにそれこそぼくがMITから日本に戻って10年続けている創造力・表現力を高めるデジタル学習活動のベース。

 そして、本書のクライマックスが「19の提言」。

 アメリカに対する提言なのですが、そっくり日本にぶつけたい政策集になっています。

 だよね!という事項を並べてみましょう。( )はぼくの感想です。

・教育に投資し、先生の報酬を増額すべき

 (日本はOECD中、公教育支出のGDP比がほぼ最下位。日本こそ投資すべきだ。)

・大学教授の終身在職権を剥奪せよ

 (よくぞ言った! 大学教授は最も競争が少ない分野。日本もそうすべき。

  自分のクビを絞めるけど。)

・義務教育の授業時間数を増やせ

 (ゆとっている余裕はない、ということ。)

・スキルを持つ労働者の移民を増やせ

 (少子化の著しい日本向け政策。女性と外人を活かすほかなし。)

・起業に関する規制を緩和せよ

 (ややこしい認可の廃止は急務。)

・通信・輸送インフラの強化

 (そのとおり。電波開放、運輸規制緩和。)

・基礎研究への予算を増額せよ

 (R&Dで劣後しては日本に未来なし。)

・労働市場の高い流動性を維持せよ

 (日本こそ成長戦略でこれを実現すべき。だが日本は腰砕けの気配。

  これに対し、アメリカは自らの強みをわかっている。)

・新ネットワークビジネスへの規制を控えよ

 (アメリカが強みをより強くする前に、日本がビジネス環境を整えなければ。)

・著作権の保護期間を短縮せよ

 (これは驚いた。アメリカが海外に保護期間の延長を求めてきたことに対する重大なアンチテーゼ。

  ぼくもアメリカは短縮したほうが国益にかなうと考えるが、ここにきてこうした議論が米国内から

  公然と起こり始めた。

  IT経済の専門家が唱え始めた意味は大きい。TPP交渉で保護期間延長は重大なテーマになるが、

  アメリカの攻勢も一辺倒ではなくなる可能性がある。)


2021/08/16

ポップカルチャー10策へのツッコミ

 ■ポップカルチャー10策へのツッコミ

ーYahoo!個人「今日はこのへんにしといたる」2013/8/10(土) 8:41ー


 政府がクールジャパン政策を検討している最中、私案として「日本のポップパワー発信10策」を発してみました。

 http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2013/04/10.html

 これはツッコミをあおるためのものでした。議論の幅を広げたくて。案の定いろんな方面からたくさんコメントをいただきました。やまもといちろうさんからも、批判・コメントをいただき、いい意味で刺激をもらいました。

●「規模の経済」が働かないコンテンツ産業に変な振興策を持ち込むのはやめて欲しい」

 http://kirik.tea-nifty.com/diary/2013/04/post-96a3.html

 指摘されている「予算」はぼくも最もナーバスな点です。補助金行政はできるだけ避けたい。役人だったころからの持論です。また、上から手をさしのべるのではなく、これも指摘どおり、民間の自然発生的な動きを支援すべきと考えます。このため手法としては、民間にインセンティブを付与するための「減税」と「規制緩和」がいい。全国で実施することに霞ヶ関(財務省)の抵抗があるなら「特区」で。

 ただし、日本の文化予算は他国に比べかなり低い。文化予算/政府予算は、日本が0.13%に対し、フランスや韓国は1%近くあります。「ハコからソフトへ」を促していいと思います。道路に10兆円使うなら、その1%を回すだけで発信機能は格段に向上します。文化政策のプライオリティーを全政策のどのくらいに位置づけるか、を考える機会かと。

 もう一つの指摘、「誰が」推進するのかも大事なポイント。ポップカルチャー支援はいいけど政や官が仕切るとロクなことがない、というのはそのとおり。では案件をどう発掘・採用するか。ぼくは有識者委託よりネット投票を取り入れたいと思いました。

 他方、「知的財産権管理徹底、二次利用・情報発信のための著作権関連の法律整備、発信すべきもののレーティング組織」というやまもとさんの提言は大事な論点。今回の 検討会は早期に取り組むアイディアレベルに留まりそうですが、知財本部などでこういう本質的な論点を取り上げていってもらいたい。

 このほか、ツイートやブログへのコメントも多数いただきました。もちろん、賛成ばかりでなく否定も多い。もとより承知。その批判には、おおざっぱに言って2種類あります。

●政官が主導するのはムリ。補助金は利権と化す。

 つまり、官や業界に対する、ユーザやファンの反発です。

●そんなことより労働環境改善するとか、足下を考えろ。

 つまり、業界内部からの声。タダで協力させるよりカネ回せ、ってことかな。

 この分野の政策には、何を打ち出しても必ず反発があります。インフラ政策や教育情報化と違い、進めろ一辺倒では立ち行かない。政策論としては難問です。

 政官ともにポップカルチャー支援したいが知恵がないという状況なので、民の知恵をぶつけましょう。政府が音頭を取り、ヘンな利権が群がり、クリエイターやファンは罵倒するというパタンを打破したいところです。

 ねじれが解消され、成長戦略が本格的に発動されるのはこれから。政府がクールジャパン対策に本腰を入れるかどうか、その姿勢が問われるのもこれからのことです。問うて行きたいと思います。


2021/08/15

オープンデータ、3年で1位に!

 ■オープンデータ、3年で1位に!

ーYahoo!個人「今日はこのへんにしといたる」2013/6/15(土) 8:35ー


 ビッグデータはバズワードだが、デジタルの次の世界を描くものであることは間違いない。市場動向を提示し、産業の環境変化を予告し、ビジネスや医療、行政など各般の改革を促す原動力となる。

 私は「インフラ」と「個人」の2つの可能性に注目している。インフラとしては、例えば携帯電話の利用データで地域・時間ごとの人口分布を推計できるため、防災・都市計画に役立つ。ビッグデータ自体が社会基盤として利用される。

 アメリカが核戦争に備えてインターネットを作ったように、大震災を経験し、原発で世界に迷惑をかけた日本は、災害に耐える次世代のインフラを作る責務があろう。だが、それは新しい通信網を設計するというより、ビッグデータを活かした都市設計という上位レイヤが求められるということかもしれない。

 スマートシティは、さまざまなセンサーからの情報をM2M(マシン・トゥ・マシン)で共有して、都市全体でビッグデータを活用する構想だ。この取組は日本は遅れているが、これこそ先んじて取り組まなければならないことではないか。

 稲田修一「ビッグデータがビジネスを変える」によれば、日本は世界の1/4のセンサーを利用する「センサー大国」。さすが八百万の神々が棲むユビキタス社会。至るところにセンサーが潜んでいるのに、それを面的に、戦略的に使えていない、という状況だ。でも、であれば、チャンスはあるということだろう。

 第二に、個人。ビジネスや地域だけでなく、個人も集合知を活用できる可能性だ。

 クックパッド、カカクコム、ウェザーニュースなど、利用者の集合知によるコンテンツの集積を活用するサービスも普及している。ビッグデータはWeb2.0が大量の無記名レベルに拡大した、いわばWeb3.0ということだろうか。

 日本の問題は、社会全体のデータ利用度が低いこと。

 「ビッグデータがビジネスを変える」に引用されるマッキンゼーのデータによれば、2010年に蓄積された情報量は、北米3500ペタバイト、欧州2000ペタバイト、日本400ペタバイトだという。蓄積量にして日本は北米の11%。一方、今年2月のシスコ・システムズの調査によれば、日本のモバイルユーザ一人当たりの情報発信量は世界平均の5倍で断トツ世界一。

 若いユーザを中心に情報を生産し発信しているが、社会全体がそれを溜めていない。ビッグなデータを生んでいるが、使えない。日本の社会経済は情報の重要性を認識していないということだろう。

 2009年情報通信白書によれば、先進7カ国の情報通信利活用の偏差値で、日本は交通・物流で1位だが企業経営分野は最下位。日本は経営・管理レベルのITリテラシーが低いことが大問題なのだ。経営層にデータの重要性をどう認識させるか。というか、そうした経営層にどう切り替えるか。

 てなことを分析していても、政策屋としては始まらない。私の仕事は、まずはデータを増やすようこじ開けて、社会の認識を高めることだ。

 そこで、オープンデータ。政府・自治体はじめパブリックなデータを公開し、民間が活用し、情報サービスを生んでいく運動だ。

 昨年設立された「オープンデータ流通推進コンソーシアム」に私は理事/利活用・普及委員長として参加している。関係省庁のかたがた、自治体のリーダー、企業や研究機関のみなさんにご参加いただき、情報発信や事例開発を進めている。

 コンソーシアムがすべきことは3点。

 プラスを伸ばすこと。まずはビジネスモデルを作ること。情報提供・共有のインセンティブは、今は善意に頼っている。企業として収益を上げられる道筋を作りたい。公共のデータを使って、もうかる事例を作りたい。持続性を得るために。

 次に、マイナスを減らすこと。安心感を醸成することだ。データがオープンになればなるほど、デジタル化に対する不安や抵抗が増す。プライバシー保護などの運用指針を明確にして、オープンとクローズドの線引きが簡単にできるようにしたい。

 3点目は、産学官のタッグを組み続けること。政府には、最大のデータ保持者としてデータを出すだけでなく、カネも出してほしい。民間が立ち上がるまでの間、資金の出し手としてプレイしてくれることを期待する。業界支援策ではなく、インフラ整備策として。

 コンソーシアムからは「政府保有データの著作権をフリーにして使わせるべきだ」との提案も上がっている。これは早急に実現すべく動きたい。国が保有する公共データには著作権が発生しないよう著作権法を改正する、国がその権利を自ら放棄する、クリエイティブコモンズなど二次利用促進のためのライセンスを採用する、などのアプローチが考えられる。

 私は間違っていた。実は、オープンデータの運動は、公共データをオープンにさせる、カナテコで開いてやる、というのが当初の私の姿勢だったのだが、参加したとたん、そんなことは些末なことだということが明らかになった。それよりも、個々人や企業のもつ超大量のデータを公共データとともに共有すること。「みんなのデータ」が公共性を持つことがハッキリしてきた。

 頭が下がる。霞ヶ関は、内閣、総務、文科、厚労、農水、経産、国交、財務といった仲の悪そうな省庁が一つのテーブルについて公開策を練り始めている。意外にも、情報公開に前のめりなのだ。オープンデータは直接の見返りがない運動であるにもかかわらず、政府も自治体も企業も個人もみな、嬉々として参加し、汗をかいている。そこには、同志感がある。

 こういうのは、ホメるしかない。そこで、2013年3月には優れた取り組みを見せる関係者をコンソーシアムとして「勝手に」表彰するという無謀なイベントをやってみた。

 http://www.opendata.gr.jp/news/1303/130314_000080.php

 最優秀賞は福井県鯖江市「データシティ鯖江」。様々なデータをXML等の形式で公開している。優秀賞にはOpen Knowledge Foundation、株式会社カーリル、税金はどこへ行った?チーム、気象庁、青森県、LODチャレンジ実行委員会、CKAN日本語化コミュニティが連なった。

 新しい活動は、お金がもうかるか、やれという命令があってやるか、が相場だ。ところがオープンデータは、みなさんの純粋な公共心と熱意でスタートしていることに感動する。

 より心強く感じたのは、受賞者の多様性。中央官庁もあれば、首都圏の大都市もある。地方の県もあれば、市も町もある。企業も、非営利団体も。国立の研究所も、学生もある。地方も中央も、大組織も個人も、同じく熱意を持って取り組む主役がいる。私は旗振り役というより、応援団として、貢献したい。

 一昨日、コンソーシアムの総会が開かれた。席上、経産省の岡田室長が「オープンデータ国際ランキングで日本は19位」という情報を紹介した。すると理事の越塚東大教授が「3年で1位に!」とチョー強気の発言。いや~それはキツいかなぁ。と思ったのだが、会場から大拍手。

 よし、やりますか。オープンデータの国際ランキング、3年で19位から1位に、をコンソーシアムの「勝手目標」に据えるかな。高いハードルに向け、いざ。


情報通信白書2012年版を読む

 ■情報通信白書2012年版を読む

ーYahoo!個人「今日はこのへんにしといたる」2013/6/8(土) 11:10ー


 総務省の情報通信白書。ぼくは編集委員の一人で、2013年版の編集に取りかかっています。

 今度はどこに光を当てましょうか。それを考える上でも、2012年版を振り返っておきましょう。

 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/

 発表後、「スマホ効果7兆円」がクローズアップされたのですが、

 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20120718_547302.html

 厳しい実態も多く指摘しています。8点ポイントを挙げてみましょう。

1) インフラ

 ICTインフラの優位性が縮まり、ネット普及率が他国に抜かれつつあります。インターネットの人口普及率は主要先進国と比較しても普及率が高いとは言えなくなっています。特に高齢者層と低所得者層の普及率の低さが要因となっています。モバイルネット普及率も先行していたが、差が縮まってきています。

 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/html/nc113120.html

2) 輸出

 ICTサービスの輸出/GDPは調査対象25か国中最下位。ハードウェアの輸出の落ち込みも大きく、内需型に。

 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/html/nc113150.html

3) 利用

 企業のブロードバンド利用率が最下位レベル。公的分野のICT利用も低迷。公的機関への個人ネットアクセスは調査対象18か国中最下位。インフラ先行で、高度なシステムが組まれながら、企業や行政・教育など公的分野の利用が立ち後れていることが日本にとっての最大課題ではないでしょうか。

 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/html/nc113130.html

4) ユーザ

 新たな商品開発のニーズ等を引き出し得るユーザーの能力の高さを表す世界経済フォーラム(WEF)による「消費者洗練度」は最高評価。企業や公的分野は劣後しているが、消費者は先進的です。今後の競争力の源はユーザにあると言えるでしょう。

 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/html/nc113150.html

5) トレンド1:スマート革命

 スマート革命のイメージとして、マルチデバイス×クラウド×ソーシャルへのメディア変化と、「ビッグデータ」の活用とを合わせて記述。ケータイ、ネット、コンテンツ後の姿を白書も模索しています。

 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/html/nc120000.html

6) トレンド2:スマートテレビ

 スマテレ、放送・ソーシャル連携をクローズアップ。地デジ、通信・放送融合後の姿をもまた模索しているのです。

 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/html/nc123210.html

7) トレンド3:ソーシャル

 10~20代が「楽しみ・話題性」の点でソーシャルメディアの評価が新聞・雑誌を上回ったことに注目しています。従来、ICTを産業の側面で捉え、産業政策に力が入れられてきたのですが、利用政策に軸が移りつつあります。日本の情報社会を牽引するユーザの行動を分析することは、今後ますます重要になります。

 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/html/nc123340.html

8) トピック:第3章として「大震災からの教訓とICTの役割」。

 2012年は震災直後の編集でしたので、改めて総括。

 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/html/nc130000.html

 どうです? 白書って無味乾燥に見えて、読み込むと結構面白いんです。2013

年版をおたのしみに。


2021/08/14

炎上対策のご相談はNRAまで

 ■炎上対策のご相談はNRAまで

ーYahoo!個人「今日はこのへんにしといたる」2013/3/2(土) 8:08ー


 2012年、最も印象に残ったネット炎上は「大津市いじめ」(31.2%)。2位は「お笑いタレント “K”の母親生活保護需給」(24.0%)。テレビ・新聞などの既存メディアが大きく取り上げた話題から炎上を起こすケースが多く、マスコミとネットの連動が目立ちました。

 また、テレビや新聞等、既存メディアが匿名報道しても、インターネット時代においてはSNSなどを通じて加害者・被害者名などが容易に特定されてしまう時代であることも浮き彫りになりました。

http://newmediarisk.org/news/new121228.html

 この調査を行ったのは、ネット炎上対策を手がける一般社団法人「ニューメディアリスク協会」(NRA)。炎上協会なんて呼ぶ人もいます。設立は2012年2月、ぼくが理事長を務めています。

 ソーシャルメディアが急激に普及し、スマートフォンなどデバイスも進化したことで、ネットのリスクも飛躍的に高まりました。 炎上案件は年に3倍増だといいます。 ソーシャルにより一瞬でメッセージが拡散するようになることに加え、スマホは誰でも写真で簡単にソーシャル参加するようにします。この傾向はこれから拍車がかかります。

 有名人の来店を店員がツイートし、その店のサイトが炎上。社長がツイートで暴言を吐き、その企業のサイトが炎上。テレビ局への批判がそのスポンサー批判にまで引火。職員のやらせメールがソーシャルサービスで発覚し問題化。いろんな炎上、情報漏洩、さまざまなパタンがみられます。会社で行ったことが批判されるだけでなく、職員が個人でつぶやいたことが会社に被害を与えたり、関係者は何にもしてないのにとばっちりで炎上してしまったり。

 根拠のないネット上のつぶやきが一瞬で拡散して、大問題に発展することもあります。企業にとってはその存在すら脅かされる死活問題となり得ます。学生の発言が大学のブランドを下げることもあります。技術的に、あるいは制度的に対応することも考えられますが、それだけでは頼りになりません。組織や個人が自ら、こうした問題に対応できる体力を養う必要があります。

女子高生が10年前にはもう親指一つでケータイメールを打っていたように、日本は老いも若きも情報を発信する世界一「ネットユーザ力」の高い国。世界のブログで使われている言語は日本語が最も多い、という調査結果もあります。

 だから、問題も発生しがちです。日本は「炎上先進国」。日本のネットユーザがマイナス面でも世界をリードしているのです。急激なメディアの変化と普及に社会が追いついていないわけです。他国に対処法や事例を求めても答えはありません。日本は、われわれ自身が方法を探り答えを見つけて行かなければなりません。そのノウハウを海外に教えてあげる、くらいの対応が求められていると思います。

 ソーシャルサービスが社会経済に大きな恩恵をもたらすことは説明を要しません。実りを最大限にするためにも、炎上などのリスクに、民間が情報を共有して、対策を練ることが大切。さもないと政治や規制が入ってくるという危機意識を持っておく必要があります。そして、そのためにも政治や関係省庁とも連絡をとりながら、努力していくことが求められます。

 NRAでは、企業や自治体、大学などの会員を募り、問題の防止策と事後対策について共有するとともに、職員の対応力の検定なども行っていきます。

 安全で活発な情報社会を共に築くことができればと祈念する次第です。


2012年のデジタル事件を振り返る

 ■2012年のデジタル事件を振り返る

ーYahoo!個人「今日はこのへんにしといたる」2013/2/16(土) 9:15ー


 デジタル十大ニュース2012。昨年のニュースをネット投票にかけ、今年の1月に集計しました。結果は以下のとおり。

1位 どないしてん日本家電産業

2位 LINE8000万人、無料通話ソーシャルサービス戦国時代へ

3位 違法ダウンロード刑罰化

4位 コンプガチャ問題

5位 炎上大国ニッポン:市長も社長も教育長も

6位 ソーシャルなデモ多発:原発やら反日やら

7位 遠隔操作ウィルスで警察手玉に取られる

8位 アノニマス大暴れ!ACTAとか霞ヶ浦とか

9位 スマートテレビ始動:放送、通信、メーカーの本格対応

10位 ビッグデータは宝の山?

 でしたね~。それぞれについてコメントすれば、このコラムが1本ずつできるんですけど、その前に、1年前、2011年のデジタル十大ニュースを並べてみましょう。

1位 スマートフォン急激に普及 上半期出荷台数は1000万台超

2位 スティーブジョブズ氏死去

3位 復旧作業や安否確認にソーシャルサービスが活躍

4位 通信・放送融合法制が施行

5位 震災後 TVのネット配信が一時実現

6位 facebookの加入者 日本で1000万人突破

7位 タブレット端末 各メーカーから出揃う

8位 地デジ、被災三県除き整備完了

9位 DeNA野球参入に楽天が反対

10位 サイバー攻撃相次ぐ

 そうでしたそうでした。2011年は、マルチスクリーン(スマホ、タブレット)、クラウドネットワーク(融合法制、地デジ)、ソーシャルサービス(ソーシャル、facebook)のメディア3分野にわたる構造変化が見事に表れたラインアップでした。

 2012年は、その具体像が現れたわけです。

 まずはマイナス面。

 1位、家電産業の落ち込み。目の付けどころがアレだった会社もアレで。島耕作さんも社長退任だそうで。マルチスクリーン化の影響もありますよね。

 5位、炎上問題。ソーシャルとスマホの普及で、炎上問題が1年で3倍ぐらいに増加しています。社会全体に広がり、案件も多様化、国際化しています。日本は炎上大国なのです。昨年、ニューメディアリスク協会を設立して対策に乗り出しているんですが、まだまだ続くでしょう。

 4位、コンプガチャ。本件、お騒がせしております。GREE、DeNA、mixiなどが中心になってこれも昨年11月にソーシャルゲーム協会(JASGA)を設立、私が事務局長になって、謝る毎日であります。もちろん、健全化には力を入れます。が、ソーシャルゲームは数少ない成長産業でもあります。国際競争力を発揮すべく努力したいと思っています。

 そしてプラス面。

 2位、LINE。なにせスゴいのは、投票を始めたときには8000万人ユーザだったのが、発表時にはもう1億人超えのニュースが入っていたこと。すさまじい。他社も次々とサービスをスタートさせています。新しいバトル、新しい戦場。

 9位、スマートテレビ。地デジ後、通信放送融合後のサービスがやっと見えてきました。テレビ局も通信会社もメーカも本腰を入れています。Google、Apple、huluなどアメリカ発の動きが気になりますが、日本はアメリカとは違う形で、つまりマルチスクリーン型のサービスが軸となって市場が立ち上がっていくでしょう。

 10位、ビッグデータ。いま最注目のワード、ビッグデータ。スマホやセンサーからデータがガンガン出てくるし、政府もデータをガンガン出す姿勢。それをどうビジネスにするかがポイントなのですが、誰にも見えてはいません。みんなにチャンスがあります。政府や自治体の情報をネット化する「オープンデータ」運動、がんばります。

 今年は、このプラス・マイナスの動きが加速して、次の方向がハッキリし、勝ち負けが分かれるんじゃないでしょうか。でも、ぼくとしては、後者のプラス面を最大化することに強く力を入れたいと思います。


30年ぶりの高野山

 ■30年ぶりの高野山

ーYahoo!個人「今日はこのへんにしといたる」2013/1/26(土) 10:06ー


 先週、念仏について記したので、今週はしばらく前に訪ねた高野山の旅行記を。いや別に仏教徒というわけではありません。昨年1年だけでも、モスクワのロシア正教会やら法隆寺やらバルセロナのサグラダファミリアやら平安神宮やらパリのノートルダムやら湯島天神やらカトマンズの寺院やら山口の瑠璃光寺やらコルカタのヒンズー寺院やら、節操というものがありません。

 で、標高800mに100以上の寺院が密集する宗教都市、高野山。そのコミュニティに53ある宿坊の一つ、「赤松院」での朝のお勤め。住職と共に経を唱える。空腹にひんやりした空気が清々しい。30年ぶりです。

 前回は、アコーディオンを求めて来ました。バンドで使いたい。「けいおん!」で全国ブランドになった楽器店「十字屋」でアコーディオンを見たら、高くて手が出ない。どこかに捨てられてないか?「高野山には傷痍軍人がいて、アコーディオン弾いてるらしいで」「もう歳やから安う譲ってくれるんちゃうか」「そのじいさん連れて来たらええんちゃう」「ケンカして取ったったらええねんゼッタイ勝つど」

 学生はアホです。とりあえず仲間で行ってみました。あわよくばパンクの乱闘に乗じアコーディオン持って下山できるかもしれない。

 阪急から御堂筋線、南海に乗り換え、ケーブルカーに乗って山頂まで来ました。いたいた。傷痍軍人さん。幟を立て、白衣で何やら請うている数名。太平洋戦争、お疲れさまでしたありがとうございました。

 いたいた。サングラスの男がアコーディオンを弾いている。ところが、どうみても、我々とそう歳が変わらない!しかもガタイはうんとデカく筋骨隆々、草食系パンクがかないっこないぞアイツ。いったいどの戦争に行っていたというのか。時は湾岸戦争の起きる10年前。ベトナムでも若すぎるぞ。フォークランドの傭兵か?

 スゴスゴ下山して30年。自分も歳を刻みました。そろそろもう一度、自分のアイデンティティを確かめてみてはいかがか。そう思っての再高野山です。

 小さいころ、ばあさんがたくさん持っていた仏教マンガを盗み読んでいました。商業誌ではお目にかかれない大雑把な筆致なのだが、おどろおどろしく、お釈迦様の功徳が並べられているにもかかわらず、ほとけさまの世界ってなんて怖いんだろうと思っていました。子どもを盗んで最後たしかみんなでザクロを食うマンガなどガタガタブルブルして読んでいました。

 そんなマンガ、まだ売ってるかもしれない。歩いて探してみました。ありました。「地獄と極楽」「お大師さま」「かんのんさま」「石童丸」。興奮して買ってきました。子ども盗んだマンガを描いたのは「地獄と極楽」の絵師と同じだね。おおこわ。この絵だ。だけどその絵師は資料によれば昭和35年に逝去。となるとぼくの生まれる1年前にはお亡くなりになり、作品はできていたわけです。短くとも50年の歴史を持っているマンガなのです。

 おどろおどろしいのは真言密教の聖地の面目躍如でしょうか。泉鏡花が「高野聖」で描いた魑魅魍魎は今も金剛峯寺のあたりに気を集結させているかもしれません。

 奥に進みます。世界遺産「奥の院」に向かう参道には、皇室、公家、大名など20万基の墓があるとされ、織田信長、明智光秀、赤穂四十七士、法然、親鸞、鶴田浩二などの墓碑や供養塔があります。

 うっそうとした参道を抜け、今も空海上人が瞑想しているとされる御廟にさしかかろうとしたところ、高野山のおじさんが言いました。「ドコモのひとは電源を切って下さい。」なぜですか。「auとソフトバンクは圏外です。」

 うはは、なんじゃそれは。「ケータイ切れ」でええやんけ。

 いや、違うのか。おじさんが言いたいのは、こんなところまで電波で覆うなよと。奥の奥の聖地まで文明の名の下で便利にしたりするなよと。見えぬ魑魅魍魎が見えぬ電波に浸入されているではないか。気がつけばアイデンティティーが薄らいでしまうではないか。なんていう、なんかこう漠然としたことがらの発露なのかもしれません。

 そのときドコモだったぼくは電源を切りました。


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