■第一回 Tokyo Crazy Kawaii Paris
ーYahoo!個人「今日はこのへんにしといたる」2014/2/8(土) 8:30ー
Tokyo Crazy Kawaii Paris。マンガ、アニメ、ゲーム、音楽、そしてファッション、食、雑貨。これら日本のポップカルチャーを持ち込み、ビジネスのプラットフォームを作るイベントです。2013年9月20~22日の3日間、パリ・ヴァンセンヌの森にて開催しました。ぼくは実行委員長を務めました。
日本ポップカルチャーはクールという評判・評価を海外から得てはいるものの、それをいかにビジネスにしていくのか、が十年来の課題でした。コンテンツ産業の収入に占める輸出割合は5%で、アメリカの17%には遠く及びません。国際競争力の発揮が求められてきました。国内市場で食うことに慣れ、内向き志向だった業界に外を向いてもらう。その試みです。
ポイントは2つありました。「総合力」と「参加型」です。
まず、総合力。マンガ・アニメ・ゲームというバーチャル系のコンテンツに加え、ファッションや食、雑貨というリアルなビジネスも一体となって提供し、日本の総合力を見ようというもの。毎年7月にパリ郊外で開催される「ジャパンエキスポ」はマンガ・アニメ・ゲームが中心で、フランス人が運営しています。出展する日本企業はそこに乗っかっていた形です。これに対しTokyo Crazy Kawaii Parisは、バーチャルとリアルの総合面について日本が企画・運営を全て担い、プラットフォーム含め自ら外に出かけていくものです。
もう一つは、参加型であること。70社に及ぶさまざまなジャンルの企業、少年ナイフなどのアーティストに加え、日本ファンのみなさんに参加いただく。それも、ジャパンエキスポに多く集まるようなオタク層よりも、ロリータファッションに身を包むハイセンスなティーンズや、一般の親子連れなど、普通の消費者のかたがたが一つの場を作ってく
れました。
ぼくが座長を務めた政府ポップカルチャー分科会の提案では、ポップカルチャーの海外展開を進めるため、「みんなで・つながって・そだてる」を柱にを据えました。ユーザ参加型で、総合力を活かすという趣旨です。まさにそれを実行しようとしたのです。
会場では、ロリータ、タコ焼き、プリクラが目に止まりました。
ロリータファッション率の高さが尋常ではありません。コスプレよりロリータでした。もともと欧州のファッションですよね。でも日本が本場なのです。日本のティーンズたちがアレンジし、発展させ、新しい文化を作り上げた。それが逆流しているのです。
でもそれは、マンガやアニメやゲームと同じ。これらコンテンツも、元来の表現法や技術は西洋からもたらされました。それを日本が豊かな土壌の中で発展させ、多様化させて、海外に展開したもの。ポップ・ファッションも日本が増殖炉になったということでしょう。
ラーメン、とんかつ、すし、うどん、そば。それを上回るタコ焼きの行列です。すし、天ぷら人気は知られていますが、タコ焼きもイケますか。だとすれば、まだまだ日本に閉じているもので、発掘できるジャンルがあるんじゃないでしょうか。どうです、全国で地元グルメの発掘に力を入れているみなさん。
プリクラにも長蛇の列。初音ミクの姿も多数。これらは日本ポップカルチャーの典型です。そう、文化力と技術力の合体。ペアのデコ写真を作るというコンテンツの企画と、それを実現する高度なテクノロジー。カワイイアニメキャラと、そこに命を吹き込むボーカロイド技術。どちらも、表現と技術との総合力を一つにしたものが、こうした参加型の場でもてはやされているわけです。
さて、ひとまず第一回は成功。毎年やっていきたいと思います事情が許せば。もちろんパリだけでなく。アジア、アメリカ、南米など、攻めて行ければと。