2020/11/05

海賊版対策:中間まとめの議論が始まりました。

■海賊版対策:中間まとめの議論が始まりました。

ーYahoo!個人「今日はこのへんにしといたる」2018/9/1(土) 8:30ー

 

                著者撮影


海賊版対策会議@霞が関、第6回。

事務局から「中間まとめ骨子(案)」が示されるとともに、各委員から意見ペーパーが提出され、それに基づく議論となりました。

中間まとめ骨子(案)は、海賊版による権利侵害の現状を記述した上で、「総合対策」として、9項目を挙げました。

1)正規版の流通促進

2)海賊版サイトの検索結果からの削除・表示抑制

3)著作権教育・意識啓発

4)海賊版サイトへの広告出稿抑制

5)侵害コンテンツの検知システムの確立

6)国際連携・国際執行の強化

7)リーチサイト規制

8)アクセス制限に係る措置

9)その他の今後の課題

弁護士ドットコムに速報があります。

「海賊版サイト対策「中間まとめ骨子案」公表…「ブロッキング」の論点整理は続行」

https://www.bengo4.com/internet/n_8452/

(出典元:弁護士ドットコムニュース 2018/08/30)

8)アクセス制限では、アクセス警告方式の実施検討、フィルタリングの推進とともにブロッキングを挙げ、ブロッキングについてはP(検討中)とし、論点整理を深める扱いとしています。また、今後の課題として違法静止画ダウンロードの扱いなどを挙げています。

議論はアクセス警告方式とブロッキングに集中しました。アクセス警告方式は東大・宍戸さんが提唱した、契約約款に基づいて通信の秘密に関する合意を得るフィルタリングとブロッキングの中間案というもので、その条件、実効性、限界などが論じられました。建設的な案と受け止められています。

ブロッキングに関しては、またも賛成・反対両意見が交錯しました。憲法における通信の秘密と財産権の比較衡量などの法律論、OP53Bの妥当性などの技術論、前回の総務省発言などに現れる政策論など多岐にわたりました。

42か国がブロッキングを導入しているという事実の認定やアメリカのフォローアップをしていないことの妥当性を巡る指摘、ブロッキングありきの議論をしているという批判なども見られました。

一方、欧米で普及しているアドブロック・アドオン・アプリによる対策が提案されたほか、対策を運用するための民間による組織、場、チャンネルを作るべきという意見も複数ありました。対策として検討に足る提案です。

このやりとりについては浅川直輝さんが詳しく記事にしてくださっているので譲ります。

「中間まとめ骨子案めぐり激論、海賊版対策検討会議第6回」

https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/news/18/02478/?P=1

(出典元:日経 xTECH/日経コンピュータ 2018/08/30)

ぼくが申し上げたこと(うろ覚えですが)。

「通信の秘密と著作権の保護をどう調和させるか。それを前文に書き込みたい。マンガ・アニメ大国の日本が海賊版にこう取り組むというモデルを海外に提示したい。日本のスタンスは国際的にみても妥当、というレポートにしたい。

 ブロッキング法制度に対しては、条件つきでやるべき、条件つきでありえる、無条件にあり得ない、という意見がある。全ての意見を尊重する。

 当初から、ブロッキングありきの議論にはしないがブロッキングを排除しないと申し上げている。もしも制度を整備するとなるとという条件下での論点を詰める。

 この場合、憲法に照らし合憲か、技術的に可能・妥当か、政策として採り得るか、という点を掘り下げる必要があると感じた。」

遠隔参加の村井座長は、「日本にとって貴重なマンガ・アニメが世界に向け発展するためにネット上の海賊版にどう対応するかが目的であり、ISPとコンテンツとが力を合わせなければ解けない。優先度や即効性などを併せて考える。」と締めました。

以上、今回明らかになったのは、まだ議論は続く、ということです。

 

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